真珠だより

2018.03.11 真珠だより ― 坂口るり子の海だより

志摩市英虞湾養殖場より ついに浜上げ! 毎年通信簿を貰っている心境です

DATE: 12/27/2017

一般社団法人日本真珠振興会→HP
真珠検定→HP

おはようございます!
三重県志摩市英虞湾で、
アコヤ真珠の養殖をしている、
坂口るり子です。

各産地では、いよいよ真珠の浜上げが行われて、

入札会も開催されています。

我が家の工場でも、

水温や真珠の仕上がりと相談しながら、
ギリギリまで我慢していましたが、

 

入札会日程の都合もあり、
ついに浜上げを行いました。

北風吹く中、沖の漁場で、
貝の入った重いネットを揚げに行きます。

最後の化粧巻きと呼ばれる仕上げのため、

掃除をせずじっと海の中で冷えていったアコヤ貝たちは、
汚れもビッシリ、貝もグっと重くなっていて大変です。

ネットから振り出し、

ひとつひとつ手作業で貝殻をあけていきます。

片方の貝殻を取りさった後、

さらにナイフで、

真珠の入った貝肉と、副産物である貝柱とに分けます。

貝殻をあけながら、

時にひとつふたつ、手元で真珠を取り出してみて、


貝の状態や、
真珠が正しい位置におさまっているかなど、

今後の為にしっかりチェックします。

職人の腕を磨く為の、大切な確認作業で、
真珠の品質の成績発表同様、

大人になっても、毎年通信簿を貰っている心境です(笑)

貝殻から外された貝肉は、

輪転機と呼ばれるミキサーで遠心分離され、
中から真珠だけを取り出します。

ミキサーにかけられた貝肉は、

海に流さず、すべて機械で濾し取り、

畑や果樹の肥料として活用し、
大切な海を守っています。

取り出された真珠は、千差万別。

すべてが完璧な美しい真珠は、ほんの一握りです。


この結果に一喜一憂する日々ですが、

やはり養殖屋にとって、浜上げは特別な瞬間!

あと少し、この時間を過ごして新しい年を迎えます。
  志摩市英虞湾より 坂口るり子