真珠だより

2018.03.09 真珠だより ― 坂口るり子の海だより

志摩市英虞湾より 年に一度 最も厳しい時 浜揚げそして入札会へ

DATE: 01/16/2017

一般社団法人日本真珠振興会→HP
真珠検定→HP

おはようございます!
三重県志摩市英虞湾で、
アコヤ真珠の養殖をしている、
坂口るり子です。

新しい年のはじまり・・・
真珠の浜揚げが終わった真冬の英虞湾には、
カラになった筏だけが、
寒風に揺られ浮かんでいます。

英虞湾の水温や、貝の状態も加味しつつ、
ギリギリまで我慢くらべをしていた我が家ですが、
無事年末に真珠の浜揚げを行いました。
北風吹き荒ぶ中、
沖の筏に吊るした養殖ネットを引き上げ、
ネットの中からアコヤ貝を取り出します。

ネットには、
今まで無事真珠を抱いて生きてくれたアコヤ貝たち、
そして死んでしまった貝殻たちも(T_T)
ひとつひとつナイフで貝殻をあけて、
真珠の入った貝肉と貝柱と貝殻それぞれに分けたあと、
真珠の入った貝肉をミキサーで遠心分離機にかけ、
真珠を取り出します。

真珠はもちろん商品ですから
私達の手を離れ、
真珠を愛する皆さまの元へと届いていきますが、
真珠を育ててくれたアコヤ貝たちにも、
その後の新たな役目があるんです。
貝殻はアコヤ貝の美しい貝殻の内側の色彩を活かし、
螺鈿細工に利用されたり、
栄養豊富な貝肉は、
果樹の肥料となったりします。
そして、
何と言ってもアコヤ貝の貝柱は最高の味です!

さて、浜揚げした真珠は千差万別。
必ずしも全ての真珠が、
皆さんの元へと届く
美しい真珠に育っているわけではありません。

浜揚げされた真珠は、
サイズや色、形、巻き、テリと呼ばれる、
真珠の特徴別に選別します。

そして、選別後はいよいよ、
真珠の入札会へと臨むのです!
養殖業者にとって、
真珠の浜揚げは、一年に一度きり。
そして、その真珠を売買する入札会も、
浜揚げ後の限られた期間だけと、
一年の暮らしがここで全て決まる、
最も厳しい時です。
「そう言えば最近このblogで見ないなぁ~」
と思って下さる方が居ましたら、、
今は一年一度、
職人から事業主になってる時なんだと
応援して下さい(笑)
自然の厳しさを改めて思い知った一年、
また養殖という事業の厳しさを思い知る
一年のはじまりとなりました‥
坂口るり子